🥇なぜ事業者には「断る」だけでは不十分なのか
私たち事業者にとってお客様へのサービスに費やす時間と集中力は最大の資産です。しかし悪質な営業電話は容赦なくその資産を奪います。
「一度断れば二度とかけてはいけない」という常識が通用しないのは、法律の定める保護の枠組みが一般消費者と私たち事業者とでは根本的に異なるためです。この法的背景と現場で使える具体的な戦術を知ることが、あなたの業務を守る第一歩です。
🥈【法的現実】特商法による保護の境界線
営業電話の主要な規制法である特定商取引法(特商法)は主に消費者を保護するためのものです。このため、私たち事業者が営業のために契約する場合、特商法の行政規制の多くが「適用除外」となります。
| 項目 | 一般消費者(保護の対象) | 事業者(規制の適用除外) | 現場での対処姿勢 |
| 再勧誘の禁止(第17条) | 拒否後の再勧誘は法律違反。 | 適用除外 (行政処分は難しい) | 「偽計業務妨害」 など、別の法的リスクを伝える。 |
| 氏名等明示義務(第16条) | 勧誘前に屋号、氏名、目的を告げる義務。 | 適用除外 | 名乗らない業者は信頼性ゼロと即座に判断。 |
| クーリング・オフ | 契約解除の権利がある。 | 適用除外 | 契約は安易にせず、専門家の確認を必須とする。 |
🥋最強の牽制術:特商法を「武器」にする心理戦
特商法の適用範囲は非常に複雑です。 私たち事業者でさえ詳細な判断に迷う中、悪質な勧誘員の多くはその詳細を知りません。私たちはこの知識のギャップを利用し、あえて特商法を盾にすることで、相手に「法的なリスク」を感じさせ、電話を続けさせない戦術を取ります。
【即効性の高い牽制フレーズ】
「こちらは明確に契約を締結しない旨の意思を表示いたしました。これ以降の再度の勧誘行為は特商法に反する「不適切な行為」と判断いたします」
この一言で、勧誘員は「法的な問題になる」と動揺し、すぐに電話を切る可能性が飛躍的に高まります。
🥉悪質業者の常套手段と「知識の三段防衛策」

悪質な業者が使う主要な手口と、それに対する具体的な防衛策をまとめます。
1. 偽装(欺瞞)を見破る質問
| 悪質手口 | 京都便利屋YJB流の切り返し |
| 屋号の詐称/曖昧な名乗り(Googleパートナーなど) | 「正式な屋号を明確にお願いします。曖昧な名乗りは 偽計行為 と判断します」 |
| お客様のフリ(福利厚生斡旋など) | 「営業のお電話と判断いたします。当方は必要としておりませんので切断させていただきます 」 |
| 勧誘目的の不告知(「アンケートです」など) | 「営業のお電話と判断いたします。当方は必要としておりませんので切断させていただきます 」 |
2. 権威の悪用と矛盾を突く質問
| 悪質手口 | 京都便利屋YJB流の切り返し |
| インタビュー/メディア商法 | 「そのメディアの 最新月の 公的なアクセスレポート (または 販売部数) を正式にご提出ください」 |
| SEO/MEO業者の矛盾 | 「御社のウェブサイトの『SEO対策』での 現在の検索順位は何位 ですか?その実績を先にご提示ください」 |
| 断定的判断(必ず儲かる) | 「その『確実性』を 契約書に 全額返金保証付き で 盛り込んでいただけますか?」 |
3. 「ツワモノ」への最終防衛策
相手が特商法の適用外を知っているツワモノの場合、特商法ではなく刑法上の問題で対抗します。
📞 最終警告
「再三の拒否にもかかわらず、偽計(欺瞞)や威圧的な言動で業務を妨害し続ける行為は、偽計業務妨害 または 民事上の不法行為 として警察への相談対象となります。これが最終警告です。」
🏅京都便利屋YJBが実践する「物理的防衛策」
事業者の集中力を守るためには、物理的なツールと環境整備が不可欠です。
1. 作業を止めない「ながら通話」の実現
私も、「手を止めずに電話応対を完了させる」ために骨伝導ヘッドホンを仕事中は活用しています。
- 業務の継続性: 耳を塞がない骨伝導なので、作業中の重要な音(異音、お客様からの呼びかけ、機械音)を聞き逃しません。周囲の音や会話が聴こえ辛いという問題なく、安全に業務を継続できます。
- 効率的な操作: 迷惑電話だと判断した瞬間、手を全く止めず、ボタン一つで即座に着信拒否や通話終了が可能です。
- 通話品質の確保: ノイズリダクションマイク(AIVC)が周囲の作業ノイズをカットし、本当に必要な通話相手にはクリアな声だけを届けます。
2. 全ての通話の録音を通知
- 録音通知は、悪質な業者が屋号の詐称や誇大な断定的判断をすることを躊躇させる強力な牽制となります。また「偽計業務妨害」で対抗する際の重要な証拠となります。

🏅紙とインクを守るFAX営業への鉄壁の防御
FAXによる営業は、私たちの紙、インク、そして通信費を勝手に消費させる最も理不尽な迷惑行為です。「無用と書いて送り返す」といった非効率な対応は不要です。特商法の知識を活用し、こちらが費用をかけない、法的に強力な対策を実行しましょう。
1. 特商法を盾にした「承諾の有無」の確認
FAX営業は、原則として受信側の承諾(オプトイン)がない限り、特商法で禁止されています。
- アクション: FAXに記載されている電話番号へ連絡し(こちらからはFAXを送らない)、「弊社は貴社からのFAX受信を 承諾した覚えが一切ありません 。承諾の 日時 、 方法 、 担当者名 を直ちに 書面 で提示してください」と要求します。
- 効果: 悪質業者は承諾の証拠を持たないため、特商法違反の明確な指摘として即座に怯み二度と送付しなくなります。
2. FAXの受信自体を拒否する物理的対策
最も確実なのは、迷惑FAXの番号を自動で拒否できるルーターや複合機を導入することです。これにより物理的な浪費を根本から断ちます。
最後に:業務効率と集中力を守り抜く
私たち事業者は消費者と異なり法律による手厚い保護がないからこそ、自らが「知識」という武器を持つ必要があります。
お客様への集中を可能にする
私たち事業者は消費者と異なり法律による手厚い保護がないからこそ、自らが「知識」という武器を持つ必要があります。
悪質な業者が狙う我々の隙(知識のギャップや焦り)を完全に塞ぎ、手を止めずに業務に集中すること。それが私たちがプロとしてお客様へ最高のサービスを提供し続けるための最も大切な自己防衛です。









